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2011'12.30.Fri

新年

そろそろ年が明けますね。

今年一年はなかなか動いてました。
学校を退学し、作家を目指すようになった。
大きな地震があり、総理が代わり、なでしこジャパンが優勝した。
思い返せばいろいろありますが、その時その時は一瞬です。
地震のことだけはくっきり鮮明に覚えていますが。

ああ、少し前に小説をこしらえておいたので、よければ読んでください。(追記から)

今しか書けない作品と言うのは大切だけれども、今だから書けない作品というのも多い。
レベルを無視して書くには、もがいてもがいて我慢しなければいけない。
今の自分にはこれしかないのだ、という気持ちで書かないといけない。
川端康成は10代の頃から掌編小説を書き始めて、以来40余年書き続けてきたそうです。
若いころに書いた作品はすべて間違いだとかなんとか言っていた、というのを読んだ覚えがあります。

人間だって、そんなもんじゃないかなと思います。
あのときのあれは間違いだった、なんて思っても、仕方ないことですからね。
後からそういうことが言えるってことは、結局それは正解だったってことじゃないですか。

くだらない話になりましたが、みなさん。来年からもまたよろしくおねがいします。
まだまだ青臭い青年ですがどうかよろしくお願いします。











 地球は針山










 頭の上から、深い闇が落ちてくる。
落ちてきた闇は、窓を通じて私の部屋に入ってくる。十一時だった。
私は十二月の寒さに震えながら、薄い布団の中にもぐりこんでいた。闇のどこかから、消し忘れたラジオの音がする。
私は急に尿意をもよおした。しかし、せっかく体温で温まった布団を離れ、冷たい闇の中を一人で歩くのは嫌だった。
薄気味悪いラジオの音を聞きながらじっとしていると、遠くの方で子猫の鳴く声がした。
悲痛な声で、みぃみぃ鳴いている。私はだんだん堪らない気持ちになって、布団を這い出てコートを羽織り、外に出た。
外は驚くほど静かで、私は自分が深海に沈んだ一本の針のように思えた。
肩を強張らせながら、鳴き声を求めて歩く。 チッチッチ、と舌を鳴らしてみる。口笛を吹いてみる。しかし子猫の鳴き声は止むことなく続いている。
私は焦りに似た気持ちで、子猫の声を探った。そのうち、民家の裏で小刻みに震えながら細く鳴き続ける子猫を見つけた。
私はチッチッチ、と舌を鳴らしながら近づいた。子猫はおびえたような表情をしている。
私は子猫を抱きあげ、両手で優しく覆った。子猫は私の肩に顔を載せて、相変わらずみぃみぃ鳴いていた。
家に帰った私は、湯を沸かして湯たんぽを作った。それを布団の中に入れ、子猫も一緒に入れた。子猫は鳴きやみ、代わりにかすかな寝息をたてていた。
次の日、子猫は忽然と姿を消した。私は無理に探すことはせずに、ただ一人悲しんだ。

私が一人暮らしを始めてから、数年が経った頃だった。
正月、実家に帰省したとき、私はふいにあの子猫のことを思い出した。
約束の時間までは、まだ時間がある。私はしばらく街を歩いてみることにした。
街はどこも、古ぼけて見えた。都会に慣れてしまったからかもしれない。私は錆びた看板やトタン屋根を見ながら思った。
しばらくして、あの民家の裏に着いた。少しも変わっていない。私は懐かしくなった。
するとふいに、にゃあという鳴き声とともに汚れた猫が現れた。
私は驚いて、しばらく動けなかった。理屈なしで、あのときの子猫だと直感した。
私は以前と同じように猫に近寄り、抱きかかえた。
そうして、あの日、なぜこの猫が逃げてしまったのか、私は悟った。
たとえ居場所が悪くても、すべてのものは、そこにとどまるしかないのだ。私もあの日、寒さに震えながらも、薄い布団の中にうずくまっているしかなかった。
私はその猫を優しく撫で、元のところへ返してやった。
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